海野マリコ
ニヒル牛の作家。
オリジナルなテキスタイルの作品を制作し、圧倒的な人気をほこる。
その後、スエーデンに留学。織物を学ぶ。
卒業制作の、スエーデンの伝統的なパンをイメージして作られた作品は、パン会社の社長が購入を希望した。
帰国日の4月、ニヒル牛2において、織物の個展を開催。
洗練されたセンスを見せつける。
5月の中旬から、ニヒル牛2の車輪スペースで、そのいかした織物作品を展示販売の予定。
・・・と、なかなかにおしゃれなプロフィールを持っているのに、モアドリームというパジャマが原因で男と別れたり、
『だって、もっと夢をっていパジャマ着た男って・・・』(マリコ談)

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ニヒル牛マガジンにふさわしい内容かどうかはわかりませんが、私が書かせていただくお話は

「ホストクラブに行ってみました体験記」です。

・・・・どうでもいいと言わないで下さい!!

ニヒル牛×ホストクラブ ・・・全く関連性がないんですけどね。
ニヒル牛2での展示を終えて、石川さんに「ホストクラブに行ってみようと思って」と話すと「アンタ馬鹿じゃないの!?」と冷たくあしらわれました。
しかしその後「ホストクラブに行ってきましたよ」と報告すると「アンタそれでどーだったのよ?」と意外にも興味ないわけでもない感じ・・・!?
自分で行く気はさらさらないけど、ちょっと存在は気になるかも・・・そんな読者の方がいるのを信じて書き綴る第1回目のお題は

「お店に行ってみたい、その動機とついにお店へ潜入パート1」

わたしが初めてホストと呼ばれる人々をトゥナイト2※ではなく実際に街で目にした時、どうすればああなるのかとこっちが混乱するような独特なヘアスタイルに正直不快感を抱いてしまいました。
そして彼らにハマり、大金を貢いでしまう女性達がいるとは理解不能でした。
(※トゥナイト2: 今は無き深夜の情報番組)

とある日、歌舞伎町裏手のカフェでお茶をしていると、ホストと地味な雰囲気のふっくら体型なOL(勝手に断定)のカップルが居合わせました。
彼らは独特な空気を発していて周囲からかなり浮いている感じでした。
ホストはふっくらOLに何かの書類に判子を押させようと必死になっていました。時には穏やかに懇願してみたり、時にはイライラと脅迫さえしているように見えました。
結局成り行きを見届けずにお店を出てしまったのですが(ふっくらOLが捺印しなかったのを祈ります)
2人の関係性を含めて、ますますその奥に潜んでいるであろう奇妙な世界が気になり出しました。






それからネットでホスト関連のサイトを色々とチェックしてみると、ホストクラブには初回料金というシステムがあり、初回はお試し価格でどのお店もなかなか安く楽しめるというのを知りました。
2時間で1人 ¥3,000前後。焼酎1本と割りものがサービスといった感じです。初回のみを色々なお店で安価で楽しむ ”初回荒らし” と呼ばれる人々もいるそうです。
近年お店の数も相当増えたようで、客が集まらないのか「破れジーンズ+布の手提げ」という一昔前の浪人生風の出で立ちの私でさえ、歌舞伎町を歩けばまさかの勧誘をされました。
敷居が下がった感を肌で感じ、「一度行ってみようではないか」と思い始めました。

しかし、ひとりその気になっても友人は誰も誘いには乗ってくれませんでした。
そんな時、ちょうどスウェーデンから友人の工芸作家のサリーちゃん(仮名)が日本に遊びに来ることになり、何も知らないサリーちゃんを丸めこみ
旅の恥は掻き捨てとばかりに旅行先の大阪で立ち寄ろうと企みました。

私「日本には独特のサブカルチャーが発展していてさ、是非サリーちゃんに見てもらいたいナイトスポットがあってさ〜。私も行く機会が今までなかったんだけど、なんだか凄いらしいのよ(抽象的)」

サリー「OH、(←欧米人っぽい雰囲気出てますか?) それはとても面白そうね、行ってみる?」と何にでも興味を持つサリーちゃんは快諾してくれました。

当日になり、事前に調べためぼしいお店※ に「今から行っても大丈夫ですか?」と問い合せの電話を入れてみました。
(※ 中には初回でもお酒を煽られてしまうお店もあるようで、たかられる可能性の低い安全なお店を事前にネットでリサーチしておきました。貧乏且つ気弱なわたしです)

店「今からですか? 全然大丈夫ですよ〜。」(異常にフレンドリーな感じ。)

私「連れが外国からのお客さんなんですが、英会話とか大丈夫ですかね?」

店「う〜ん、うちは英語話せる者は1人もいないんですよ〜。でも身振り手振りで絶対楽しませる自信はあるんで〜。」 (ダイジョーブか??)

芽生えた一抹の不安を知ってか知らずか、サリーちゃんは「彼らと工芸の話が出来るかしら?」と本気とも冗談とも取れるようことを言っていました。





お店はすぐに見つかりました。地下1階にあるそのお店は、入り口から真っ黒な内装でなかなかスタイリッシュです。
念願だったホストクラブ。なんだかそわそわして足下がスースーする思いで階段を下りました。

入り口すぐ横にカウンターがあり、スーツ姿の男性従業員(ホスト?)が声をかけてくれました。
「いらっしゃいませ、指名はいらっしゃいますか?初回の場合は身分証のご提示をお願いします」と言うので、私は免許証を、サリーちゃんは母国のIDカード(身分証)を出しました。
18歳未満での入店が出来ないそうで、身分証の提示は初回来店時の形式的なきまりだと分かってはいるけど、こちらは18歳の頃の自分を思い出すのが難しいほど加齢して少々気恥ずかしい・・・。
男性従業員は身分証を一瞥しただけですぐに「では中へどうぞ」と通してくれました。



「いらっしゃいませ〜!」「いらっしゃいませ〜!」「いらっしゃいませ〜!」


非常にイキの良いかけ声が・・・・ ここは居酒屋ではないですよね??

(続く)

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