★「ニヒル牛マガジン」は、西荻窪のアートギャラリィショップ「ニヒル牛」から生まれた、たのしいwebマガジンです。

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「ニヒル牛マガジン」創刊にあたって    発起人 石川ある

『本にあかりを。出版に光を。その光はニヒル牛の電球から』
くす美が作ってくれたニヒル牛マガジンのマーク。
そして、文は言うなれば、くす美の走り書きです。
特にそれを注文したわけでは無く、くす美だって、ただなんとなく書いたんだと思う。
だけどこれは、ニヒル牛マガジン、そして、そこから続けていこうと思っているニヒル牛文庫の本意です。
私は好きな物を書いて、好きな物を作って、好きな人の作品を紹介して、
好きな人と遊んで、のたれ死にしても運命だと、そこまでは考えてはいないけど、進んでいたいです。
お金の事だったり、気力や年齢だったり。
考え始めると、足がすくんで、なかなかに落ち込む事だって多い。
そして、先の暗さと向き合った時に、唯一出来る事は結局、自分が考えて動く事。
マイナスに捕まらない、それが唯一の闘い方だと。
人を憎むのは、まっぴらごめんだし、自分を憎むのは、ほどほどにしたい。

だから闘うマガジンです。ニヒル牛マガジンをどうぞよろしく!

あ!!
これからも、人をどんどん、巻き込んで行こうと思っています。
巻き込まれる意志がある人は、どんどん巻き込んでしまっちゃえと!
その節はよろしく!!



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編集長のことば    2コ

If もしもなんですけど、「文学」が絶滅しちゃったらどうなるんだろう、
といきなり思ったのです。

たとえば、芥川龍之介とか三島由紀夫とか太宰治とか(どれもろくに読んではないが)、
わたしの好みでいえば内田百けんとか夢野久作とか尾崎翠とか、
それ級の書き手が今後あらわれる可能性ってあるの?
といきなり心配になったのです。「恋空」とかじゃなくてってことよ。

「出版不況」という四字熟語を知らんでも、ちょっと外に出れば「文学」が若い世代に浸透してないことは如実である(北関東だけ?)。
クルマ雑誌や「ワンピース」は買っても、「ドグラ・マグラ」は買わないのだ。うん、健全だね。
いや、だけどね、本屋に行ってみても、自己啓発本とか実用書とかビジネス本がめちゃくちゃ幅をきかせてて、
その前に忠実に人が群がってる様子はちょっと恐ろしいですよ。

そもそも「文学」ってのは、ひとのこころのめんどくささを書いたものだと思うの。
めんどくささをまず踏まえた上で、会社では社会ではどうしたらいいか、
そんなめんどくさい自分のこころをどう持っていったらいいかってのを学ぶべきなんでない?
それを、めんどくささすっとばしていきなり「空気を読んでうまいこと金稼ごう」みたいのって、
単純化しすぎなんじゃないのお?
と、自分のこころのめんどくささに辟易するわたしは、
お前らもめんどくさくなれ!と呪うがごとく勢いで思うわけです。

言葉は現象を100%表現できるものではない、本質的にまどろっこしいものである。
目と目で通じ合う、虫の知らせでピンと来る、長年の勘がものを言う、
そういう伝わり方の方が速くてクールなのだろうと思う。
しかしだからといって、血肉としてひとの中に息づく言葉、単語の数が減っていいということではない。
思考の広さ、深さ、複雑さは思考する者のボキャブラリィと比例する。
ボキャブラリィが貧困になれば、思考も貧困になるだろう。
複雑なものを複雑なものとして捉えることができなくなるだろう。
それを伝えることができなくなるだろう。
それは、人間の衰退じゃあないのか!(アジテーション!!)

無論、こころを豊かにするのは文学だけではない。ひと、音楽、芸術、食べ物に服、
その気になれば生活の中のすべての物事から豊かさを引き出すことはできる。
しかしやはりこころの、そしてせかいの複雑さ、わずらわしさ、単純でないうつくしさなどについて、
するどい洞察力と表現力をもって言葉で書かれた「文学」というものは消えるべきではないし、新たに生まれるべきと思います。

今までに書かれてきた素晴らしい文学作品を手軽に読める仕組みはもちろん、
新しいすぐれた書き手がきっちり売られる市場が確保されたい。
そして一部の人の嗜好品じゃなくて、たとえば北関東の倉庫で働いてる中卒のあんちゃんとかも
ぱっと手を出せるような教育や、土壌が欲しい。

川上弘美が、町田康が、車谷長吉が(超★偏ってるけどさ)、死んじゃった後も、
濃厚で重厚な文学のエキスをびったびたに滴らせた新しい書き手がちゃんと出てきて、
みんながフラットに買って読んで、こころのめんどくささについて語り合えるといいなあ。
 
だから、「ニヒル牛マガジン」がんばる!!と鼻息荒く思うのであります。
ここまで文学について書いといて、わたし自身は全く文学に詳しいわけじゃなく偏りまくっている上
自分の記事も重厚さとは無縁に、ぽやぽやと夢のようなことばっかり書いております。
しかし!それでも、何かしら書く機会、読んでもらえる場所を与えていただき、
自己啓発書やビジネス書なんかに全く収まらない、
複雑ではみ出していて魅力的な世界をもった人たちとつながれること、関われることは、
わたしにとってものすごい勇気なのです。
おもしろい本が読みたい!という自分の欲求をかなえるために、
本をとりまく状況に一滴でも何かを注げたら。また、その可能性に触れさせてもらっていることの光栄。

「本にあかりを。出版に光を。その光はニヒル牛の電球から。」

このことばを胸に、こころ躍る、他にはないwebマガジンをつくっていきたいです。
打たれ弱い編集長ですが、どうぞよろしくお願い致します。